(2面)

日米安保体制・軍事同盟粉砕!

沖縄自立解放連帯!

日本帝国主義打倒・日本国家解体!

21世紀の新たな沖縄・安保闘争から東アジア・環太平洋圏同時革命へ!

畑中文治(共産主義者同盟首都圏委員会)

 

2010年・階級闘争の情勢と展望

 継続深化する世界経済危機・多極化に向かう国際帝国主義支配秩序

 日本帝国主義の没落と迷走する民主党主導・鳩山連立政権

 世界経済危機と帝国主義秩序再編の現段階

  世界的にも一国的にも経済破綻の急場はしのいだものの、安定成長には程遠く、景気の再度の崩落の不安がつねにつきまとっている。したがって、日米それぞれの新政権発足期の高支持率も、経過とともに失われている。(中略)

 パックスアメリカーナの崩壊は不可逆的な歴史的な趨勢であり、世界的な支配秩序は、多極化、ないし無極化に向かっている。米国の経済構造については、過剰消費と格差放任を常態とする社会を改め、金融・信用偏重を抜本的に修正する産業基盤の構築が、国民経済再建の基礎に据えられなければ、結局バブルを再生産するしかなくなるのである。オバマ政権は「医療保険制度改革」に対する強い抵抗に直面している。12月1日にはアフガニスタンへの3万人の再増派を決定し、これによって300億ドルの戦費支出が行われる。国内改革は膠着し、財政負担は増大の一途である。米軍の世界的展開の圧縮を目的とする戦略的再編は我々の予想以上に急速に進んでいるとみられる。10年2月に公表予定とされるQRDの内容が注目される。他方、米帝覇権の衰退のなかでラテン・アメリカをはじめとする人民闘争、階級闘争の新しい波が高まっている。

 日本資本主義の没落と日本国家の迷走

  新自由主義政策の浸透を通じて日本経済の米帝情報・金融支配への従属は深まった。その結果米資本主義の破綻、米帝の衰退とともに日本資本主義の没落と自民党支配の崩壊は決定的なものとなった。(中略)

 共産主義運動、プロレタリアの運動は、反貧困と労働運動が目指すことになる福祉国家・福祉社会形成への関与と、ナショナリズム・排外主義との対決、反帝国際人民連帯を基軸に据えなければならない。市民社会から資本と国家の抑圧と搾取・収奪に抵抗する共同の紐帯と闘争を一つ一つ編み上げなければならない。いわばこの基礎コミュニティを共産主義運動が自力でつくり上げることをつうじて、はじめて国家と資本を根本から転覆する革命の展望が開かれる。既存の福祉国家や制度的な労働組合の諸装置に頼ることはできないし、新自由主義の破綻は、そうした国家・社会統治の諸装置の機能が働かない事態をも示したのである。

 普天間基地撤去・辺野古新基地建設阻止が試金石

  いうまでもなく、2010年の政治闘争の当面する最大の焦点は、沖縄・普天間基地移設問題であり、辺野古・高江への米軍基地新設強化問題であり、日米地位協定見直しである。沖縄におけるすべての軍事基地撤去の展望を開かなければならない。そしてこの沖縄闘争はただちに安保闘争の再構築を促す。

 1112月、日米交渉は米国の恫喝にひるんだ閣僚の迷走の末に、社民党が「連立離脱」のカードを切って、「先送り」の政府決定が行われた。報道によればその主要な内容は以下のとおり。

 政府は米軍普天間飛行場移設問題について14日に開いた関係閣僚会議で、2006年5月に日米協議委員会で合意した代替施設の名護市辺野古沿岸部に移設するという現行計画を見直し、@移設先は与党3党で協議して決めるA移設先選定に十分時間をかけるB10年度予算には移設関連経費を計上、環境影響評価を続けるC新たな協議の場を米側に求める−などの方針を確認。1215日に開いた基本政策閣僚委員会で米軍普天間飛行場の移設問題について、「移設先は与党3党で協議して決める」とする政府方針を決定した。

 「移転先選定」の期限は10年5月が念頭にあるとされる。この決定は米国に速やかに伝達された。いまのところ米国の反応について確たる報道はない。

 もともと鳩山連立政権の軍事外交路線については、社民党から国民新党までの幅を含むがゆえに、明確な合意が成立していたわけではないことは周知の事実である。民主党本体にしても「小沢一郎式『国連中心主義』によって政策統一を行うことが試みられているものの、依然として戦後保革の枠組みが残存し、あまつさえファシストまがいの右翼排外主義者さえ混在しているのである。したがって日本国家の外交方針についてはカオス状況が当面続くことになる。10年参院選挙・政党再再編を見据えて、日米政治・軍事同盟の再強化を目指す動きも確実にある。「安保改定50年を期して安保再定義を」との声が、前政権、外務省にあったことを忘れてはならない。

 だからこそ、今、安保体制・日米軍事同盟粉砕の沖縄人民を先頭とする、広範な人々の意志を、圧倒的な大衆行動によって政府に強制しなければならない。普天間基地撤去の沖縄人民の意志は、はじめから明瞭であったのであり、辺野古新基地建設を押し付けたのは日本政府であったではないか。日本労働者階級人民の連帯の大衆行動を実現する時だ。我々にとっても沖縄自立解放連帯の内実を問う重大な関門である。そしてそれは新しい安保闘争の構築に直結している。

 2010年・共産主義運動の課題】

 21世紀初頭〜前半における世界同時革命の展望と我々の戦術・路線−政治介入のポイント

  反帝国際連帯・世界同時革命を推進し、社会民主主義と国家社会主義を突破する共産主義運動の今日的なあり方が問われている。

 まず、現実への共産主義運動の関与のあり方が問われている。民・社・国連立政権の成立はこの問題を実践的な課題として提起している。なぜならば政策決定のための回路と接点が、とりわけ政権与党となった民主党、社民党と、我々も関与する現実のさまざまな制度と運動組織を通じて存在しているからである。政府問題は労働組合運動への関与のあり方とともに、古くて新しい組織を通じて存在しているからである。政府問題は労働組合運動への関与のあり方とともに、古くて新しい問題である。コミンテルン以来の歴史を越えて、等しく主体としての党・統一戦線が問われるのである。

 社民党の政権参加は、村山政権の教訓を含めて、政府に関与するあり方についての事例である。共産党の「建設的野党」という態度表明も、第三インターの系譜からの逸脱事例として問題考察の対象となる。「鳩山政権支持」を明言すべきだというたぐいの意見も同様である。はじめから「日帝・鳩山政権打倒」といって済ませられるのであれば、自ら現実関与を放棄したと見られても仕方がない。社民党は端的に、辺野古新基地建設阻止のための沖縄人民の意志結集と持続的結集体の形成に貢献できるか否かが問われた。共産党は「唯一革新(前衛)」論の事実上の放棄から、「建設的野党」ともったいぶるのではなく、明確な議会主義政党としての態度を問われることになる。

 政府、議会、行政、自治体などにおける労働運動、市民運動による要求実現の行動は、今までもそうであったように、運動が具体性を帯びれば帯びるほど、福祉・社会保障の分野に踏み込めば踏み込むほど拡大する。そのつどごとの個別事情や、運動の利害に合わせて、必要な対応を行うことはいうまでもないが、場当たり的な利用主義や、ギブアンドテイクの取引に終始するのであっては、要求行動の正当性に対する社会的共感や運動主体への結集の拡大に系統的に結び付けていくことはできないだろう。純然たる議会主義や、かつての「革新自治体論」が我々の選ぶところでないこともいうまでもない。多様な社会運動における主体の確立とその政治社会変革に向けた路線的展望が求められる。運動に参加した一人一人が、自らの行動と実力によって、要求を実現することを通じて社会的諸闘争の階級統一と、プロレタリア権力闘争の具体的実践として運動の主体が実感できるような性質を持たなければならない。社会の変化とともに、支配の構造も複雑化・高次化している。それぞれの生活に発する道理ある要求を自らの闘争と仲間の団結によって実現することを通じて、生産と生活を人々の自発性に発する組織化と統治に結実する道をたどって、支配階級の国家機構を打ち倒し、労働者人民の簡潔明瞭な自己権力に置き換えること、そのような闘争の組み立て、すなわち政治路線が発見されなければならない。

 この運動の基軸をなすのはやはり労働運動であり、かつての「清水提言」の全般的な検討、89年以降の労働運動の政治的社会的条件変化とその主体の質的変化についての確認作業を通じた、わが国社会における労働運動そのものの質的転換である。

 またこうした活動を実現する反資本主義、反帝国主義、労働者人民の実力によって当面の改良的要求を実現するとともに、それにとどまらず支配階級の打倒と権力の獲得を反帝国国際連帯のスケールで行われる実力闘争をつうじて目指す、左翼の統一戦線が求められている。ここに日本における共産主義運動の政治展望と主体形成の大きな課題がある。これが我々の理解する共産主義者協議会が担われなければならない役割であり、「新しい左翼の極」を立てるということの内実でもある。その際に、新左翼における「内ゲバ」の一時代をなしたセクト主義の総括と清算が左翼結集の前提になる。新左翼を継承する、「反スターリン主義」を標榜するなら、この問題と正面から向き合わなければならない。これを明言し左翼の結集を促す勢力は共産主義者協議会以外にはない。セクトとしての維持存続のための居直りは許されないだけでなく、おのずから闘争と生活の現実によって消滅への道を歩むことになる。「党=権力無用論」の衣をかぶった「党派隠し」は党的総括を放棄するための方便である。

 共産主義者協議会が、「あるべき党」建設の煮え切らないワンステップという理解が、世上あるようだが、それはちがう。党は権力闘争の現実性によって実体化するのであり、その条件成立の兆しにしたがい、革命的政治結社の一つとして私たちは協議会に結集しているのである。プロレタリア権力闘争が現実性を獲得することによって協議会は速やかに共産主義革命党に転化すると、我々は確信している。権力闘争の指導を担う革命党は中央集権主義を原理とするのであり、「プルーラリズム」だの「ネットワーク型」だのという類のふやけた組織であるわけはない。しかしその場合にも政治結社としての『風』の固有性は保存される。そのような我々も含めた無数の共産主義者、グループの結集、連合・統一が革命党建設の確実な前進をもたらす。我々のレーニン主義理解とはこれである。そのための『赤いプロレタリア』と協議会の活動を強めよう。

 現在の民・社・国連立政権のもたらす過渡的な政治環境が、政治社会運動の追い風になるという時期はいつまでも続くものではない。すでに述べたように予定通りであれば、10年夏の参院選挙の結果を受けた政党・政治再編は、その転換点となる可能性が高い。とすれば残された時間は半年強。限定された期間に、反貧困の運動を広範な社会的基礎として、利用できるすべての条件を活用し着実に労働者階級人民の政治社会運動の地歩を固め、可能な限り遠くまで前進しなければならない。それが、階級闘争の次の局面、より厳しい闘いにおける出撃の拠点となる。1月名護市長選挙に始まり、11月県知事選挙にいたる、来る10年一間を通じて、沖縄自立解放連帯の闘いを拡大し、新たな安保闘争を創出しよう。普天間基地撤去・辺野古新基地建設阻止の1月30日・沖縄連帯全国集会への圧倒的な結集を勝ち取ろう。非正規、労働者下層の運動から10年3月NOVOX国際連帯フォーラムを成功させよう。5月・6月新しい沖縄・安保闘争への大衆的決起を実現しよう。これらの闘いのすべてを21世紀における世界同時革命の展望に結びつけて2010年の闘いを全力で進めよう。ともに闘かわる!

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