「県内移設−新基地建設」NO!

  沖縄の民意を体現

  県内移設反対決議

 

 沖縄県議会は、2月24日、「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・変換と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書」を与野党全会一致で可決した。県議会の全会派が一致して普天間基地の「県内移設反対」を打ち出したのは初めてだ。「『抑止力』など曖昧な言葉で基地を押し付ける時代は終わらせるべきだ。県議会意見書はそう宣言している。」(225)付琉球新報社説)と、沖縄の地元2紙は、その歴史的意義を強調し、日本政府に「沖縄の民意を直視せよ」と強く訴えている。以下、両紙の社説を抜粋する。

 「沖縄県議会は普天間飛行場の県内移設に反対する意見書を全会一致で可決した。移設先として『国外・県外』を明記したのは初めてだ。

 各会派がそれぞれの主張の違いを乗り越えて、県民の思いを集約した意義は大きい。移設先を検討している政府に強いインパクトを与えるのは間違いない。

 昨夏の総選挙で県内移設を容認していた自民党衆院議員が全敗し、名護市長選で基地反対派が勝利した。今回の県議会意見書で、県内移設に反対する思いがようやく一つの表現にまとまった。

(中略)

 これまで県内移設を容認してきた自民は『党本部と対立し、知事を追い込むことになるが、県外移設に方針転換した』と強調した。公明の『県外・国内を軽々しく言っていた連立政権に県民の思いを突きつけつべきだ』という訴えは共感できる。

 政党間で考えに違いがあるのは当然だ。それを乗り越え、1996年7月の『県内移設に反対する決議』以来14年ぶりに全会一致を実現させた判断は歴史に刻まれるだろう。」(225付沖縄タイムス社説「『県議会意見書』民意をくみ歴史的転換」)

 「普天間移設問題で保守の稲嶺恵一前知事、仲井真弘多知事はともに名護市辺野古の海上案、新たなV字形案を容認してきた。『県外がベスト』としながら、国外・県外移設が困難視され、普天間飛行場の危険性除去を火急の課題とする苦渋の選択だった。

 しかし、県民世論調査は一貫して『県内移設反対』が多数を占めている。県議会も2008年に野党の賛成多数で『辺野古への新基地反対』を決議。昨年の衆院選挙では県内4選挙区すべてで『現行計画反対』の候補者が当選した。1月の名護市長選挙でも移設容認の前職を破り、移設反対の新市長が誕生した。

 辺野古移設を推進した自公政権から新政権に代わり、基地問題見直しの期待が高まる中で、県議会全会一致の『国外・県外への移設』意見書が実現したのである。

 県民意志がこれほど明確に示された以上、県内移設は現実的には困難だ。県民意志を踏みにじり県内移設が強行されれあ、不測の事態を招きかねない。そのことを日本政府は直視する必要がある。」(225付琉球新報社説「国外・県外を決議 日本政府は民意直視せよ県内移設は非現実的に」)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古のキャンプ・シュワブ地域への移設に対して、沖縄の民意は、97年の名護市民投票をはじめ各種世論調査が示すように、一貫して反対であった。そうした沖縄の民意を軽んじて踏みにじって、「日米安保」と「駐留米軍の抑止力」の重要性を名分に、沖縄に犠牲と負担を一方的に押し付けて辺野古新基地建設の計画が進められてきたのである。亀井静香流の表現を使えば、民意を無視し続けてきた政府こそ「いかれている」。危険きわまりない米軍普天間飛行場を撤去するのは日本政府の責務だ。沖縄の頭越しに代替施設を県内に求めることは「まったく道理に合わない」。何よりもまず普天間飛行場は即時閉鎖・撤去すべきなのだ。政府は何をもたもたしているのだ。これは「失政」以外の何ものでもない。そのツケをもうこれ以上沖縄民衆に押し付けることは許されない。鳩山政権は5月末までに移設先の結論を出すとしている。連立3党の協議や日米の交渉を、我々は「座して見守るべきではない」のだ。

 日米安保改定から50年を迎える今、「安保と沖縄」は再び最大の政治焦点になっている。「普天間基地問題」は、日米安保を揺るがす発火点であり、鳩山政権の今後を左右する試金石と言える。鳩山政権が、これまでの自民党政権と同様に「冷戦」思考を「チェンジ」できず沖縄に基地の重圧と犠牲を押し付けようとするなら、「政権交代」への期待は不信と幻滅に変わるであろう。

 「県内移設−新基地建設」にノーを突き付けてきた沖縄の民意の火種となってきたのは、紛れもなく海にクイ1本も打たせまいと着工を阻み続けてきた辺野古の新基地建設反対の闘いだ。この事実を鳩山政権は直視すべきだ。普天間の代替施設を沖縄県内に求めることこそ最も「非現実的」な選択であることを知るべきであり道を誤ってはならない。我々は再び、日米両政府に訴える。72年の日本「復帰」(再併合)後も米軍基地の重圧と「国内植民地」ゆえの苦しみ(新川明)を強いられてきた沖縄民衆の怒りを侮ってはならない。日米両政府は、マグマのようなその怒りの深さを読み誤ったことを必ずや後悔するにちがいないと。硫黄島(移設候補地)の火山活動を心配するなら、沖縄の地の底に溜まった「怒りのマグマ」を恐れよ。

 怒りは苦しみの中に宿る。苦しみがなくならない限り、怒りの火種は誰にも消せない。沖縄民衆の怒りに連帯し「普天間基地即時閉鎖・撤去」の闘いへ 4・17沖縄連帯集会へ(武佐隆樹)

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