NOVOX国際連帯フォーラム開催

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フランス、カナダ、韓国からNO-VOX活動家と連帯−交流−討論の7日間

 

 NO-VOX国際連帯フォーラムin TOKYOは、3月1日〜7日まで現場行動・交流、ディスカッション、シンポジウム、デモなど多様な取り組みで「持たざる者」の国境を越えた連帯の新たな一歩を踏み出した。

 海外からの参加者を紹介。まずフランスからは、2007年にも来日したNO-VOXのリーダー的存在であるアニー・プールさん、DAL(住宅への権利運動)の創設者の一人で、空き家占拠の現場闘争の先頭に立つジャン・バティスト・エローさん。APEIS(失業者に対する雇用と情報と連帯のためのアソシエーション)の中心メンバー、アイシャトゥ・バルデさん、NO-VOXの闘いを世界に知らしめるべく映像の作成を担当してきたギレーヌさん、カナダからは、FRAPRU(都市開発民衆行動戦線)で、貧困者向けの公営住宅建設要求や、住民が自主管理する協同組合運動を担うヴェロニックさん、韓国からは、元全国貧民連合の議長、現在は露天商の国際連帯組織ストリートネット・インターナショナルの活動に携わるキム・フンヒョンさん。

 3月1日 歓迎交流パーティーが催されたが、それに先立って渋谷区役所への緊急抗議行動(区役所地下駐車場から野宿者を閉め出すため、「3月1日から夜間・休日閉鎖」を通達)に合流、団交で当面の中止を勝ち取った。アニーさんらは先頭で渋谷区の担当者を厳しく追及し、熱い拍手がおくられる。

 3月2日 移住労働者の権利を守るため労働相談・争議を取り組むAPFS労働組合との交流と討論会が板橋で行われた。APSF労組からは、ビルマ、フィリピン、バングラディシュの仲間や支援者が参加。韓国のキムさんは、移民の多い露天商の運動の内実や、民主化闘争の過程で生まれた貧民連合の闘いの歴史を語る。山谷で活動する野宿者の仲間からは自らの体験をふまえた「貧困ビジネス」の実態報告もなされた。

 3月3日 山谷労働者福祉会館で隅田川や上野で野宿する仲間、山谷で活動する支援者らと交流。フランス、カナダの占拠行動や公営住宅を求める運動のダイレクトな報告が映像を交えてなされ、多くの仲間が感心しながら話に聞き入る。NO-VOXのメンバーも、長い歳月をかけて培った当事者運動や山谷の歴史に注目した。その後は、四谷の「自由と生存の家」を訪問、設立の経緯を聞き、居住の権利を取り戻すための運動をめぐり活発に意見交換がなされた。夜は戸塚地域センターで活動者討論集会。キムさんより韓国第2ロッテワールド建設着工で、10人の露天商が強制排除される事態が急迫していることに。全体でロッテに対する抗議行動を確認、6日朝にNO-VOXメンバーとともに新宿・ロッテ本社へ「強制執行を中止して露天商との話し合いを求める」と抗議要求書を提出した。

 3月4日、5日 フォーラムのメイン企画であるシンポジウム「居住の権利と越境する社会運動」が明治大学リバティタワーで行われ約100人が参加、4人のパネラーを軸に会場からも化発に質疑や論点の提起がなされた。

 パネラーの発言から、アニーさん「WSF(世界社会フォーラム)は草の根の運動を反映していない。NO-VOXは何よりも当事者運動の自主性、自律性を尊重し、現場の闘い・行動に連帯する。大切なのは異なる団体が共同しなければ新自由主義とは闘えない」

 ジャンさん(清掃労働者のホテルロビー占拠闘争の映像を紹介しながら)自分たちが置かれた状況を公的空間に知らしめることで、政府は放置することができなくなる。(銀行通りを占拠した)374家族も同様だ。住宅への権利が本当の権利になるまで闘い続ける」

 アイシャトゥさん「(パリで)失業者だけで5000人のデモを行った。失業対策は権利が侵害されてゆくものばかり、だから国に対して、資本主義に対抗して異議申し立てが必要だ」

 ヴェロニックさん「(カナダでは)公営住宅を要求する運動を通じて貧困問題に取り組んでいる。住宅の協同組合は、貧困層が中心で、当事者の意志決定を重視する。日本の当事者運動の共同性には学ぶものがある」

 3月7日 「許すな貧困・不平等・社会的排除」「取り戻せ生きる権利と希望」「持たざる者は国境を超えて連帯しよう」などを掲げての屋外集会とデモだ。雨模様であったが会場の恵比寿公園には70人が結集、NO-VOXも各々アピールを行い、渋谷の繁華街を通って宮下公園まで、熱気あふれるデモを貫徹した。

 

 越境する新しい社会運動の模索

 国境を越えて連帯するNO-VOX 

 

  「最貧層で権利を最も剥奪された人たちと一緒に問題を考え連帯して行動すること」(アニー・プール)を訴えているNO-VOX(「声なき者」が国境を越えて連帯するネットワーク)の国際フォーラムの開催は、何よりもグローバルなコンテキスト(文脈)から自分たちの運動の現状や困難性・可能性を考え模索しながらグローバリズムに抗して「奪われた権利と希望を取り戻す」ための課題や展望を議論する場として、「越境する新しい社会運動」の国際的ネットワークを創り出していくために一石を投じる試みであった。

 ラディカル・レフト、アンチ・オーソドックスの立場に立つ私たちは、日本の社会運動の立ち遅れた現状(周回遅れ)を考えると、フランスなどとのギャップの大きさに改めて直面させられる。もとより海外の目覚しい運動の例をそのまま日本に直輸入できるはずもないが、問題は、国際的な運動事情に疎い日本の活動家たちが、島国的な視野狭窄から脱却し、彼らとのギャップ(自らの立ち遅れ)をどう克服していくのかということではないだろうか。

 私は3点提起したい。第1は、貧困との闘いは、生存権の問題だということをもっと強調する必要がある。誤解を恐れずに言うと、資本家の集まりであるダボスで扱われているような、あるいは「経済決定論」ではないということだ。貧困や生活・雇用・居住の不安定(プレカリテ)を生みだしているのは、生きる権利からの閉め出し・排除である。社会的権利からの排除が貧困を拡大している、という認識に立つべきだ。したがって社会的排除との闘いを、新しい社会運動の重要なモーメントにしなければならないのである。ところが、日本では反貧困に取り組んでいる活動家たちの多くは未だに社会的排除の問題に無関心である。

 第2は、公正・平等な権利を保障させる「権利のための闘い」(オルタナティブの闘い)が、国家権力に対する異議申し立ての闘いと分断されてはならないということだ。恩恵や施しではなく「人間らしく生きる権利としての社会保障」を実現できるかどうかは、当事者である声が出せなかったり、声が小さかったりする「声なき者」の自己決定権にかかっている。その「自己決定権」が認められなかったり遠ざけられたりすると、「権利主体」としての立場は弱くなる。実際、行政の下請機関化しているNPOが多い日本の現状を考えると、この問題は大きい。日本で「居住の権利」が認知も確立もされていないのは−ホームレス自立支援法はこの権利から遠ざけるための政策だ−、第1に「権利意識」が社会的に未成熟であること、第2に活動家たちの中に「居住権」が生存権に不可欠な権利であるという問題意識が欠落しているからである。

 第3のポイントは、社会運動や労働運動の従来の連帯の在り方を変え最下層と連帯することによって世論を変え中間層を引きつけることである。競争に人々を駆り立てる原理は分断だ。この分断を打ち破るには、社会から排除され運動圏からもマージナル化されてきた人たち「声なき者」との連帯が重要になるのである。生きる権利が保障されていたなら、人と人とのつながりや支え・連帯があったなら、死なずに済んだ人が一体どれだけいただろうか。この問いかけに応えることこそ、私たちが社会運動に取り組む根本的なモーメントである。肝心なのは「問いかけながら進め」(サパティスタ)である。(槙 渡)

 

4・17沖縄に連帯する高良勉氏講演集会

 米軍普天間基地「移設」をめぐる情勢が急迫している。鳩山政権は、この3月中に「政府案」を決定するという。しかも「政府案」は@「キャンプ・シュワブ案陸上案」、A「勝連・ホワイトビーチ沖埋め立て案」に集約されつつあるというのだ。先の総選挙における民主党の公約「最低でも県外」を覆す、「沖縄県内移設」を許してはならない。ありとあらゆる機会をつうじて、この主張を訴え、沖縄人民自立解放連帯、新しい反安保闘争の大衆的な規模での構築を急がねばならない。

 高良勉さんを招いて行われる4・17講演集会は、沖縄人民との連帯の内実をかけたこの闘いの魂を吹き込むものだ。21世紀の新しい反安保闘争は。日本労働者階級人民の自己解放闘争の試金石だ。沖縄なくして反安保闘争はなく、反安保闘争なくして沖縄連帯もない。沖縄人民の闘いの歴史と実践に学び、反貧困・社会的排除との闘いとし結合して、あらゆる職場・地域から広く深い大衆的な闘いを準備しよう。

     4月17日(土)午後1時開場

     渋谷区立千駄ヶ谷区民会館

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