11月沖縄県知事選挙ぜったい勝利をめざして

映像とシンポで日米安保体制と自己決定権を考える

10.13集会に180人参加

 

 1023日、文京区民センターで「11月沖縄県知事選挙絶対勝利をめざして−映像とシンポで日米安保体制と沖縄の自己決定権を考える」が開催された。前日同じ会場で、沖縄県知事選に立候補を表明した伊波洋一さんを迎えて、会場あふれる450名を集め「県内移設がってぃんならん大集会」が開催されている。その熱気の余韻も覚めやらぬ中での集会であり、この日も180人が参加した。

 主催者あいさつの後、「激突死」(1978年放送・演出森口〜・製作日テレ)を上映。「復帰」の翌年、国会議事堂にオートバイで激突して亡くなった上原安隆という青年の死の〈なぜ?〉に迫り、人と場所を訪ねる。32年前の映像は、その衝撃度を少しも減じてはいない。

 上映後、森口さんと映像批評家の仲里効さんが並び、命どぅ宝ネットワークの太田武二さんの司会でシンポが始まった。森口さんは、上原青年が1970年のコザ暴動の中にいたことを指摘し、激突死に「ヤマトへの絶望と抗議」を見る、と語った。仲里さんは、「琉球弧の自己決定権が打ち出され、同時多発的に沖縄から日本国家の枠組みを組みなおし新たな政治的共同性を立ち上げていこうとする動きが出ている。これは上原安隆が自らの死で国家を総括しようとしたことと底流として繋がっている」と強調した。

 シンポの後。東恩納琢磨さんが9月12日の名護市議会議員選挙の勝利を報告。一坪反戦地主会・関東ブロックの上原成信さん、9条改憲阻止の会、沖連(静岡)などからアピール。伊波さん勝利に向けた支援が呼びかけられ盛況のうちに閉会した。

 

奪われた権利を取り返そう!

113「持たざる者」の国際連帯行動

 

11月3日、「持たざる者」の国際連帯行動の集会が東京・千駄ヶ谷区民会館にて110人の参加で行われた。2003年にスタートした「持たざる者」の連帯行動も、今年は3月に、フランス、カナダ、韓国の仲間を迎えて開催したNO-VOX国際連帯フォーラムを勝ち取り、貧困・不平等・社会的排除に抗して、居住権・生存権を取り戻し、公正・平等・連帯を掲げ、国境を越えた新しい社会運動ともに創りだそう、と113行動が呼びかけられた。

今回は、集会の第1部を「持たざる者」にとって奪われた権利を奪い返すためにと、会場からのフリートークが試みられた。渋谷・宮下公園のナイキ化との闘い、台頭する排外主義、野宿者排除、沖縄反基地の闘いとの連帯など、各々の現場からの提起がなされる。NO-VOXフランスのメンバーが撮った3月の国際フォーラムの記録上映を挟み、後半はまず、昨年に引き続いてパレスチナ訪問の特別報告、イスラエルの占領に抵抗するパレスチナ民衆の息吹が伝わる。続いて、非正規外国人労働者の権利のために闘うAPFS労組、地域共闘交流会、墨田区の空き缶持ち去り禁止条例と闘う山谷圏の野宿者「いらないAPEC!」神奈川の会、自由と生存の野菜市実行委と、連帯アピールが続く。集会後は、手づくりの旗、プラカードなどを掲げ、渋谷まで熱気あふれるデモが行われた。

1113日には、横浜でAPECに反対する民衆フォーラム、デモが行われた。桜木町駅前広場から出発したデモは500人が参加、APEC会場が見える位置まで迫り、怒りの声を叩きつけた。

 

(寄稿)それでも、この地で働きたい!

外国人労働者を取り巻く現状

山口智之(APEC労働組合執行委員長)

 

下町の一角にある町工場。大手の孫請けとして細々とプレス機を動かす工場に日本人とは異なる風貌の人々が就労している。休み時間に固まって母語で語り合う南アジア出身の外国人労働者たち。製造業を営む中小・零細企業で、ごく普通に見られる光景である。

或いは居酒屋等の飲食店。そこでも外国人労働者達が懸命に働いている。注文を取りに来るのは日本語たどたどしい東アジア、東南アジア出身の女性労働者、厨房で刺身などを調理するのは同国人の男性労働者といった具合である。

 その他、マスコミで度々取り上げられる南米出身の派遣労働者の雇い止めや、「時給300円の労働者」と悪名高い研修生問題等、外国人労働者の姿と話題は身近にいくらでも見聞することができよう。

 80年代から増えたニューカマー(新来外国人)の労働者たちは今、未曾有の不況下にあって日本人労働者以上に苦しめられている。私達の組合員(70名弱)の9割以上は外国人労働者だ。国籍はビルマ、パキスタン、インド、イラン、バングラデシュ、エチオピア、スリランカの7か国で、約6割がビルマ人、その他の各国がほぼ同数で並ぶ。相談内容で多いのは圧倒的に「解雇」で約半数。次いで「賃金不払い(時間外割増・深夜割増を含む)」と「労働災害」、少数であるが「パワハラ」や「いじめ・差別」、「その他労働条件」となる。

 以下、具体的なケースを2件、紹介したい。

@     インド人男性(30歳代)。プレス加工。同族経営の零細町工場。従業員6名。労災隠し、時間外割増賃金未払い、その他。直接の相談内容はプレス機に誤って指を挟み、人指指の先端が欠損したが、会社は数日間分の治療費こそ負担したが「後は自分で何とかしなさい。働けるようになったら又出社するように」と彼を放り出したのである。町工場によくある典型的な労災隠しだが、加えて時間外割増が付いていない事が判明。有給休暇も未付与、社会保険、雇用保険にも未加入だった。会社は団体交渉には応じたが、本人に在留資格がないことから「オーバーステイの外国人の労災申請には協力できない」と開き直る悪質さだった。早期に休業補償支給を得るため事業主証明のないまま労働基準監督署へ労災申請。労基の指導で会社も折れ労災は認められた。また是正勧告により未払い賃金についても全学支払われた。その後再度団体交渉をもち、安全配慮義務違反による損害賠償および労働条件の不利益に対する解決金をかちとった。

A      ビルマ人女性(20歳代)ランドリー工場。同族経営で従業員は約30名。不当解雇。彼女は入国管理局にて在留期間更新を行うため、上司の許可を得て休暇を取得した。が、必要な書類に不備があり更新ができなかったため、その場で上司に電話連絡し、「明日も入管の手続きがあるので休みたい」旨、伝えたところ、「そんなに休みが多いのならもう来なくていい」と不当な即日解雇を通告された。

   会社は団体交渉に応じず不当労働行為を続けたため当組合は社前抗議活動を数波にわたり展開した。根をあげた会社が労働相談情報センター(旧労政事務所)に相談し、同センターが間に入り、開催場所も提供する形で団体交渉が重ねられた。結果、会社から当該労働者および組合への謝罪文が提出された。また当該労働者が現職復帰を臨まなかったため、十分に納得できる額での金銭解決となった。

 

外国人労働者支援

 

 外国人労働者支援に特有の難しさはいくつかある。まず在留資格の問題である。在留

格がなくとも労働関連法規はすべて適用されるが、例えば労災で通院中に「不法滞在」で摘発され入管施設に収容された場合、病院への連行(症状固定の証明を取るため)や労基による後遺障害の認定作業などを組合・入管・労基が連携をとりつつ(当該の意見を可能な限り尊重しながら)進めなければならない。通常の数倍の労力を要する。資格外就労(定められた在留資格に相当する職種以外の労働者の場合、事を荒立てると在留資格の取り消しとなる恐れがあるので経営側と十分に闘えなかったりもする。

 更に当組合に駆け込んでくる外国人労働者の職場はほとんど零細企業で、経営者に労働法を始め各種法規への無知、無理解がある。「就業規則がない」「社会保険が強制加入である事を知らない」「当該労働者との合意さえあれば最低賃金を守らなくてもよいと信じている」等。更に経営者の意識の底に外国人蔑視が加わり、常識では考えられない人権侵害がまかりとおる。「外国人労働者は使い捨ての労働力」と考える経営者は多いのだ。

 では、なぜこの過酷な労働状況に外国人労働者は耐えるのか。現在、国内に約100万人ものニューカマー労働者が存在するのはなぜか。それは彼・彼女らがどんなに苦労しても祖国に帰るよりは日本で就労する方が「まだまし」と考えるからだ。世界規模の経済格差が日本で生きる外国人労働者に「それでも、この地で働きたい」と言わしめる。第三世界出身の人々は帰国しても職につけないケースすら多い。最賃以下でも、割増賃金がつかなくとも、月300時間、日本国内で働けば一族郎党を養える額を祖国に送金できるというわけだ。それが外国人(出稼ぎ)労働者の偽らざる気持ちなのだ。

 ここで問題がはっきり見えてくる。外国人労働者を苦しめる根源的存在は個別の悪質経営者ではない。それは南北格差の問題なのである。外国人労働者を苦しめる根源的存在は個別の悪質経営者ではない。それは南北格差の問題なのである。自らの権益を守るため途上国の非民主的政治体制を擁護し、資源を奪い、環境破壊を推し進める先進国の政治家や産業界こそが指弾されなければならない。

 こうした現実を前に、私はレーニンが同志イネッサ・アルマンドに書いた手紙の一節を、今さらながらに思い返さざるを得ない。

「労働者は祖国を持たない。なぜなら彼(労働者)の経済的地位は一国的ではなく国際的であり、その階級敵が国際的であるから…。」

 つまりは、何も変わっていないのだ。100年近く前の秀でた革命家による現状分析は今も本質的に不変かつ普遍に、ここにある。だから…、プロレタリア国際主義の、小さな実践を、私たちはこれからも続けようと思う。いや、続けなければならないと思うのだ。

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